獣医さんの電子工作とパソコン研究室
 
 53.自分でトナーカートリッジのリサイクルに挑戦してみました。
(Canon EP-86 トナーカートリッジの再生)
  

 

 ■ 自分でトナーの補充はできないのか?
 Canon レーザーカラープリンタを数年使っているのですが、トナーカートリッジが高い! 純正ですと4色購入すると8万円もします。リサイクルトナーカートリッジを購入しても4色で4万円からします。
EP-86カートリッジは A4-5%印字で12,000枚印刷できるようですが、画像を含む文書を多く印刷していると、とてもこんな枚数は印刷できません。
インクジェットのインクを補充しながら使うのはかなりメジャーになっていて、インクの連続補給装置まで売られているのに、カラーレーザーのトナーは再生品が売られているのに自分で補充、再生したという記事は見かけません。海外ではトナーカートリッジの再生キットなるものが販売されていたり、再生業者がやっているのだから自分でもできるのではないかという安易な気持ちと興味から、トナーカートリッジの再生に挑戦してみました。
  
 トナーカートリッジの再生といっても、自分でできるのは「廃トナー」を抜き出すことと、新品のトナーを補充するだけのことしかできません。再生メーカーによっては消耗した部品も交換したり、感光帯を交換したりしているところもあるようです(交換していると謳っているが内容は?)。
以前から廃トナーを捨てて、新しいトナーを補充するだけならできそうな気がしていました。 
 
  とりあえずEP-86トナーカートリッジ分解1本目にチャレンジ
 まず、今回使い終わってしまったトナーカートリッジを分解してどのような構造になっているかを確認しました。
トナーカートリッジにはいくつかのネジしかありません。右側面のネジ2本を外すと、新トナーを注入する蓋がみられます。
上側の箱が「廃トナー」が入っている箱、下側の箱には新しいトナーが゛は行っています。
  
 
★廃トナーと格闘
トナーの注入はこの廃トナーの箱にある蓋を開けて行えばよいようですので、簡単にできそうです。
廃トナーをどうやってとりだすか?
トナーカートリッジの上に金属の板がネジ2本とプラスチックの止めでついていましたので、これを外してみましたが、何の関係もありませんでした。よくみると蓋が接着されているようでしたので、無理やりドライバーを差し込んで開けてみました。
廃トナーがいっぱいです。この写真はシアンですが、廃トナーは少々濃い青となっていました。
これを捨てて、こびりついている廃トナーを掃除機で吸い取ってしまって、廃トナーの抜き取りは完了です。蓋を接着剤でしっかりと接着して元通りに戻しました。
  
  
海外では、こんな工具が廃トナー抜き取り用として販売されていました。
 
★ついでに その1
別にこれで目的は達成できたのですが、作業中にかなりトナーが飛び散り汚れてしまったので、ついでに感光ドラムも抜き取って掃除してみました。実はこの作業、しないほうが良かったみたいです(後述)。
   
右側の軸についている留め具を小さいマイナスドライバーでこじって外し、反対側から抜き取れば感光ドラムが取り外せます。感光ドラムはデリケートなもののようですので、いじらないほうが無難かもしれません。今回は柔らかい不織布でかるく拭いて、付着したトナーを拭い去りました。
 
感光ドラムを取り外せば廃トナー入り口から廃トナーを吸い出すという手もあるかもしれません。
 
写真はきれいにした後ですが、この近辺もトナーが飛び散っていたので、きれいにしました。
 
★ついでに その2
EP-86カートリッジは、下写真の丸部分のヒンジで、上下の箱が稼動するようになっています。
再生カートリッジは、このヒンジの部分が必ずいじってありましたので、観察してみると裏側のピンの受け部分が割れていて、ヒンジのピンを打ち抜いたようになっていました。このピンを打ち抜いてしまえば上下の箱が分離できるようです。 
 
★プリンタカートリッジに隠されたメモリ
新トナーを入り口より注入して完成のはずだったのですが、いざプリンタにセットして試したも最初に出ていたエラーメッセージ 「1G C トナー コウカン」(表示されたカートリッジの寿命) のメッセージが出てプリンタが立ち上がりません。
プリンタの設定メニューで拡張機能−警告処理:停止、自動エラースキップ:使う、警告表示:しない に設定しても 1Gエラーは消えません。
 
マニュアル(設置ガイド)を見ていたら、カートリッジメモリなるものがついていることに気づきました。この部分に何か情報を書き込んでいて、使えなくしているとの予測が立ちました。
下の写真は、使っていたリサイクルトナーのものです。電波式のメモリらしいです。ICの型番はわかりません。
メーカーHP  http://www.scceurope.co.uk/Imaging/Products/Product1-8QGK-301.aspx
  
 
こちらは別のリサイクルトナーについていたもの、PIC12F683がついており、書き込み用?の端子も見られます。データの構造が解析できるかもしれません。
 
いろいろネットで調べていると、このチップを販売しているところをいくつか見つけました。
http://printer-reset.com ドイツにあるお店ですが、日本にも発送してくれます。トナーの粉も販売しているようです。
 今回購入したのは、eBay経由で購入し、注文してから4日目にドイツから届きました。
送料も含めて50.16GBP、日本円で8,069円でした。各色1個ずつ注文したのですが、黒のチップが2個入っていました(明細には1個となっている、間違えたのかオマケなのか?)。
米国の通販のほうが安かったかもしれません。

購入したチップにはPIC16F819が使われていました。

 
  ■ 自分流 トナーカートリッジの再生手順
 最初の1本目で、いろいろなことがわかりました。
残る3本のトナーカートリッジを再生してみました。最初と違ってほとんど手も汚さず簡単に再生できました。作業方法は下記の3ステップです。
最初のカートリッジは作業を室内で行ったのですが、トナーが飛び散り、掃除がたいへんだったので、
2本目からは屋外で作業を行いました。作業時はマスクも必要です。
 
■廃トナーの抜き取り
廃トナーボックスの上蓋をこじ開けると接着するのが面倒だし、周囲がトナーで汚れるので、廃トナーボックスの上面2箇所に穴をあけ、そこから掃除機で廃トナーを吸い出してみました。
何度かボックスをたたいたり傾けたりしながら吸出しました。中が直接見えないので、どの程度吸い出せたかはわかりませんが、だいたいきれいになると思います。また、掃除機は結構汚れるので、不要になった掃除機を使いましょう。
抜き取り作業後は、アルミテープで穴をふさぎました。
  
■新トナーの注入
注入するトナーですが、トナーの「粉」だけを販売しているところがありますので購入することはできるようです。業務用コピー機などはトナーの粉だけを入れ替えるものがありますので、それを利用しても良いと思います。
今回は、以前使っていたカラーレーザーのトナーカートリッジが、現在不要となって眠っていましたので、そちらから入れ替えました。
不要となり眠っていた EP-83 カートリッジから新トナーを補給しました。
古いトナーカートリッジがオークションなどで格安で出品されていることがありますので、こちらを利用するという方法もあると思います。
量的にはEP-86より少ないと思います。
 
  
紙で注入補助する筒を作って、右写真のようにトナーを入れました。
ゆっくりと作業しないと、トナーが煙のようにたち上がります。三角の筒は長めの方がトナーの飛び散るのが少ないような気がしました。全体を大き目のビニール袋でくるんで作業しても良いかもしれません。
 
■購入したカートリッジメモリ(チップ)を貼りかえる
先に紹介した printer-reset.com より購入したチップに貼りかえて完成です。 
 
 ■今回のトナー詰め替え実験結果
 結局、4本のトナー詰め替えをしましたが、2本失敗で、3本成功でした。
詰替え順序 エラー
メッセージ
チップ
張替
結果
1本目 シアン 1G あり 帯電ドラムを取り出したせいか、印刷時に不定期なシアンのしみができてしまう。
2本目 マゼンダ 1G あり うまく行った感じがしたのだが、まったくマゼンダの色が出なくなってしまった。トナー注入時にEP-83から部品が落ちて、トナーボックスに入ってしまったせいか?
3本目 イエロー なし なし 良好
4本目 ブラック なし なし 良好
シアンとマゼンダは仕方が無いので、購入した再生トナーに取り替えて現在使用しています。
チップとの問題なのかはわかりませんが、次回トナー切れになったら、再度トナー詰替えをしてみるつものです。
マゼンダ、イエロー、ブラックの3本は、ワイパーブレードやドラム周りの清掃をしませんでしたが、問題なく動作しています。構造的にはこの辺の清掃はした方が良いと思われます。
 
 ■ さいごに
 海外ではレーザープリンタのトナーを自分で注入して再生することが多いというような記事も見受けられます。今回のEP-86トナーカートリッジの再生方法は、たいへ簡単にできましたし、古くなって使わなくなったトナーカートリッジからの詰替えだったので、費用はメモリーチップ代のみでした。
トナーの粉が手に入ればリサイクルトナーを購入するよりも更にコストダウンとなるのではないでしょうか。部品の保守や清掃が大変なため、トナーカートリッジの自宅での再生はされていないのかわかりませんが、どうにか自分で再生できました。
 
 今回の実験レポートはあくまで個人的興味の下に行った実験です。
実際にはプリンター本体に悪影響を及ぼす恐れもありますし、プリンター本体の故障につながる場合もありますので、純正のトナーカートリッジを購入してお使いください。
  
参考リンク
  ★タンデム式カラーレーザープリンタみのしくみ解説(EPSONのサイトです)
  ★http://printer-reset.com メモリーチップの販売、日本にも送ってくれます
  ★http://www.tonertopup.co.uk トナー、チップの販売、詰替え方法も出ています
  ★http://www.bulktonerdirect.com/ トナー粉末の販売、カートリッジ部品の販売
  ★http://www.refilltoner.com/ トナー、チップの販売
  ★http://www.tonerrefillstore.com/ トナー粉末の販売
  ★http://www.tonerrefillyourself.com/howtorefill.asp トナー詰替えを写真入で解説
  ★http://www.scceurope.co.uk/
   コンパチチップメーカー、トナー詰替えの解説もあるのだがメンバーのみしか見られない
 
海外ではEP-86カートリッジは、HPのプリンタに採用されているようで、HP CLJ5500/5550が同じチップのようです。
  
Last up date 2009/8/29

 

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