獣医さんの電子工作とパソコン研究室
 
 33-2.おもちゃのラジコンを利用したワイヤレスチャイムの製作
その2

 
  
 前回はおもちゃのラジコンを利用した焦電センサ式ワイヤレスチャイムを製作しましたが、今回は単純なスイッチ式のワイヤレスチャイムにまとめてみました。

 その1.おもちゃのラジコン 
 
 33-1.で紹介したTOMY TOMITECH AERO R/Cの部品を使用しました。このエアロRCは1,000円程度でどこでも販売していて、入手は容易です。27MHzと40MHzのものがあり、同周波数のものは混在使用不可です。つまり、同時に2台しか遊べないということになります。
「トイラジ」ということでネット上には各種製作や改造の話題が見受けられます。周波数変更の改造を行った事例がも見られ、いずれもコイルのコアを回して同調周波数をずらしたものですが、試していません。
  
 こちらのラジコン、回路図を起こしてみました。間違っている部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。
 送信機の送信波形について、簡単な解析をしました。こちらのページをご参照ください。
ラジコン送信機回路図 ラジコン受信機回路図
 その2.電子式チャイム  
 
 先に機械式チャイムを使ったものを製作していたので、どうしてもチャイム音にこだわりたく、いろいろ検討していました。結局、秋月でセイコーエプソンのSVM7975Cを使ったメロディー&アラームキットというものを見つけました。キットの回路はデータシートそのままのものです。
 SVM7975Cデータシート
 このICはアラーム音としてきれいなチャイム(学校の懐かしいチャイム音)や、ピンポン音を簡単な回路で出すことができ、なおかつ3V動作で待機時の消費電流(0.5μA)もごくわずかという優れものです。これを利用しない手はないと思い購入しました。
 製作してみると3Vでまずまずの音色でしたが付属の小さなスピーカーでは音量が今ひとつです。試しに100円ショップで購入したモノラルスピーカーをつけてみると、結構大きな音量で効くことが出来ましたので、このスピーカーで製作することにしました。
 他にも下記サイトを参考にして検討しました。
杉原俊雄さんのホームページ・・・扉を開ければ新快速!?--西日本版扉チャイム
こちらのページではPICを利用した電子音で、サンプル音を聞くとなかなかよいです。
   
京谷豊さんのホームページ・・・玉入れゲーム
こちらの玉入れゲームにTTL ICを利用したチャイムがあり、こちらは音色はわかりませんが、良さそうです。
秋月のキット 100円ショップで購入した部品
 その3.回路を考える 
 ラジコン送信機、受信機はまったく手をつけない状態で使用します。しかし、送信機ボタンを押した時のみしか電波が出ないので、チャイムも「ピンポン」としか鳴りません。来客用として数回鳴ってもらいたいので、送信機側に遅延回路を追加して、ワンクリックで数秒間電波が出るようにしてみました。同時に動作確認のLEDも点灯させます。
 送信機のボタンは車の後進ボタンに接続しました。

回路図 実験の様子
 受信機側はモーターの接続している部分にSVM7975Cのスイッチ部分を繋いだだけです。SVM7975CのスイッチはGNDに落とすのではなく、VCCにつなぐタイプですので、受信機回路図でQ8とQ6のモーター出力に接続すれば、送信機の後進ボタンでチャイムを鳴らすことが出来ます。
 その4.送信機の組み込み 
 送信機を組み込むのに使用したケースは、100円ショップで売っていた「プッシュライト」を利用しました。これは単三電池4本で豆電球が光るようになっているもので、電池ホルダーを若干加工して、2本のみ使用できるようにして、残り半分の部分を加工して送信機を組み込みました。
      
 ついていたプッシュスイッチはロックタイプのものでしたので、分解してロック部の金具を外してみましたが、押した感じが良くないので上写真のようにタクトスイッチを取り付けました。
    
 表側の豆電球がついていた場所に、遅延回路とLEDを載せた基板を取り付け、スイッチを押すと、ドーム状の上部にLEDがボーッと光るようにしました。また、少々ドーム状の上部が隙間があり、がたがあったので、上写真右のようにスポンジを貼り付けがたがたするのを取っています。

今回製作したものでは消費電流の実測値は
待機時 0mA、送信時 13mAでした。
(送信機のスイッチによって波形の違いから消費電流は異なります)
 その5.受信機とチャイム回路の組み込み 
 受信機とメロディICキットは同じく100円ショップで購入したタッパーへ組み込みました。
スピーカーはそのまま使用したのですが、このスピーカーのコードが曲者で、通常平行2芯であれば、それぞれプラスとマイナスと思うのですが、このコードには1本の中にプラス、マイナスの芯が一緒に入っていたのです。 
100円ショップの耳元スピーカーは32Ωでした。
 
このコードは使いにくいので取り去って別のコードを使用しました。
 受信機基板は両面テープで、チャイム基板はスピーカーのネジ止めの都合で、木の丸棒を薄く切ってスペーサーにして接着剤でつけました。チャイムキットの基板サイズが若干大きかったので、余分なところを切り取り、ケースに入る大きさにしました。また、電池は長く使えるように、単2を2本使うことにしました。電源スイッチも取り付けてあります。
   
 アンテナはエアロアールシーに入っていたストロー状のものを接着して使いました。φ3mmのドリルで穴を開けると、ちょうど良くはまりこみます。
 
 この状態で消費電流を実測したところ、待機時 0.56mA、チャイムが鳴っている時 91mAでした。
 
 その5.完成〜使ってみて 
 
 まとまりは大変良い感じてしたが、実際に使ってみると到達距離が短すぎて、思っていたように使えませんでした。(2階と3階で使いたかったが無理でした) 
アンテナをしっかりしたものにするか、送信部を改造して出力を上げるしかなさそうです。
音色もばっちりで、当初計画していた通り「ピンポン・ピンポン・ピンポン」と3回鳴ります。
 
 安いおもちゃのラジコン応用例として参考にしてください。

New release 2007/2/23

 

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