獣医さんの電子工作とパソコン研究室
 
 33.おもちゃのラジコンを利用した焦電センサ式ワイヤレスチャイムの製作
 
  

  最近おもちゃのラジコン(トイラジ)がたいへん安く手に入るようになりました。何か応用ができないかと思っていましたが、お店入り口に人センサ式チャイムが必要になり、これに応用してみました。
 市販でも同様の製品を見たことがありますが、すべて手持ちの部品とジャンク再利用で作ってみました。 センサ部には市販のセンサライト(焦電型人体センサ使用)がジャンク箱の中にありましたので、ケースごと再利用しました。 受信機側のチャイムですが、電子式も考えたのですが、これもジャンク箱の中に眠っていた数十年前?の機械式チャイムをケースごと利用しました。
センサー部とチャイム部はおもちゃのラジコンを利用し、ワイヤレスでつなぎました。


 その1.センサーライト 
 
 150W×2灯のライトが付いていた防雨型のセンサーライト SLO-150N (シンコー製作所)です。
作りはしっかりしていて、日本製なのでしょうか? 外部チャイム出力端子もついていました(フォトカプラ出力)。 中身はセンサー部の基板と電源部の基板の二重構造になっており、センサー部へは3端子レギュレーターで安定化した電源を供給しています。

電源部回路
 
 その2.機械式チャイム  
 
 かなり昔に使っていた、乾電池式チャイムです(National ダブルサイン/ペア6 EB65-9) 
ソレノイド磁石で槌をうごかし、左右にある金属板をたたくというものです。 1回のみピンポンと鳴る端子と6回連続で鳴る端子があります。 連続のほうの端子をONすると、機械式の接点駆動部があり中にあるモーターが回って6回接点をONする構造になっています。 骨董品の部類に入るかもしれませんが、音は大きくて心地よい音がします。
 
  
 その3.組み立て式ラジコンカー 
 
 今回改造に使用したものはTOMY トミテック・エアロアールシーです。おもちゃ屋さんで1,000円程度で購入できます。 おもちゃのラジコンもIR式のものと、電波式のものの2種類ありますが、こちらは電波式です。周波数は27MHzと40MHzの種類有り、40MHzの表記のあるものを購入しました。同時使用は周波数の違う2種類のみです。
他にも無名ブランドの安いラジコンや、Bit-Chargeという超小型の電波式RCカーもありますので、同様に応用できると思います。
 今ではラジコンも安くなりました・・・。1000円では部品代にもならないような気がします。
 
●送信機は組み立て済みで単三電池2本を使用し、電源スイッチはありません。プロポーショナルタイプではないため、コントロールボタンを押した時だけ電波が出るようになっています。
●送信機を調べる
今回の製作では動作状況はあまり関係ないのですが、どのような波形が出ているか調べてみました。回路は下図のようで、表面実装部品で作られていました。
他にもう一台持っているのですが、そちらは2石で通常の部品で作られていました。

  ↑回路はシンプルです   ↑今回使用した送信機 ↑別の送信機は2石でした
 
← ICからの出力波形です。このHIレベルの時間だけ40MHzの正弦波が出力されています。
 
各操作ボタンにより異なるパルス列となっています。 下左図がパルス幅の詳細です。 300μSが基準のようです。
  

上図でHレベルの時に40.5MHzで発振しているようです。→

 
●受信機を調べる
受信機については回路図は書き出しませんでしたが、必要なモーターコントロール部のみ概要を調べました。
前輪のステアリング用モーターですが、回転数を落とすためか、回路の簡略化のためかはわかりませんが、電池2本のセンターより電圧を取り出して1.5Vで駆動しています。
後輪の駆動は3Vで、典型的な正逆反転回路でした。両者とも130モーターを使用しています。

 後輪コントロールのトランジスタは SS8050(NPN) と SS8550(PNP) の組み合わせでした。このトランジスタ、中国では一般的に使われている汎用タイプのトランジスタらしいです。
 
 受信機回路図アップしました (2007/2) 
  
 その4.受信部の製作 
 
 
機械式チャイムは単一電池4本の仕様でしたが、ACで使用したいためトランスを組み込みました。チャイムの消費電流は意外と多く 800mA程度流れており、ちょうどジャンク箱の中にあったコンデンサの飛んだACアダプタのトランスが、サイズ的にもちょうど良かったのでコンデンサを取替えて使用しました。 LM317では受信機用の3Vの電圧を作っています。 受信機の消費電流はそれほどでもないので、ツェナーダイオードを使用した簡易の電源でも大丈夫だと思います。
  
  
 受信機の基板の後輪駆動用モーターをつなぐ場所にリレーを接続し、チャイムのスイッチ回路としました。(3Vで駆動するもの、Nationalの5Vのリレーが3Vでも充分駆動できたのでこれを利用しました)
 
 
 その5.送信部の製作 
 
 送信部は少々工夫しました。 機械式チャイムは、スイッチON時「ピン」と鳴り、スイッチOFF時に「ポン」と鳴るのです。 人を感知している間中鳴り続けるようにするなら、センサーの出力時間を極端に短くすれば、繰り返しセンサーからパルス状に出力がありますからこれでも良いのですが、人を感知して1回鳴り、しばらくの間は鳴らないようにするために、回路図にあるように微分回路により、センサ出力のエッジの立ち上がりを検出し、センサーがONの間に約1秒だけ送信信号を送出する回路にしました。
 センサ部についていたリレーをラジコン送信機のタクトスイッチ代わりに使用しても良かったのですが、リレーの駆動音が嫌だったのでリレーを取り外し、リレーのコイル部分にあたる場所に動作確認用に発光ダイオードをつけました。(このセンサーライトには外部出力用にフォトカプラの出力があり、最初はこちらを利用しようとし実験したのですが、うまくゆかず、最終的に回路図のように落ち着きました。) 
 今回は手元にあったDTC143というデジタルトランジスタを使ってみました。部品点数の削減?になります。 ラジコン送信機へは回路図のようにセンサライトの電源から3Vのツェナーダイオードで電圧を落として電源供給しました。
  
 下写真が製作した送信部です。ラジコンのタクトスイッチ部分は必要ないので切り落としました。このとき必要な配線も切り落としてしまうので、下写真の赤いリード線のようにジャンパします。
 
 これらをセンサーライト、基台の部分に仕込み、ロッドアンテナをつけました。
    
 送信部出来上がりです。最初は天井部に取り付けよう思っていたのですが、下写真右の状態で、入り口脇の棚に置いててあります。(この状態ではちょっとベース部分の重さがなくて不安定です)
 このロッドアンテナと受信機のリード線アンテナで送信距離は結構あり、当院の端から端まで充分に届きます。
  

 その6.応用できるかも 
 
 今回使用したおもちゃのラジコン(トイラジ)ですが、無改造で4チャンネルのON/OFFができます。さらに2つの周波数を使えば8回路のON/OFFが可能です。
送信機はスイッチを押した時のみの送信ですので、電力もそれほど喰いません。例えば、レストランなどのテーブル表示するチャイムとか、いろいろなものに応用できそうですね。

  


New release 2006/10/09

 

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